うつ病治療の新たな選択肢:rTMSとは
うつ病は日本で多くの方が罹患し、そのうち約3割が薬物治療に十分な反応を示さない「治療抵抗性うつ病」とされています。このような患者さんに新たな希望をもたらす治療法として注目されているのが、反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)です。
rTMSとは、磁気をエネルギー源として頭蓋骨を通過させ、脳の特定部位を非侵襲的に刺激する治療法です。コイルから発生した磁気パルスにより脳内に微弱な電流が生じ、脳細胞の活動を調整します。2008年に米国FDAが薬物治療抵抗性うつ病に対して承認し、日本でも2019年に保険適用となりました。当院では自費診療のみとなります。
rTMSの作用メカニズム:なぜ効くのか
rTMSがうつ病に効果をもたらすメカニズムは、主に神経可塑性の誘導にあります。脳の左前頭前野背外側面(DLPFC)を高頻度で刺激したり、右DLPFCを低頻度で抑制したりすることで、神経回路のバランスを調整します。
具体的には、以下の作用により抗うつ効果がもたらされると考えられています:
- 神経細胞間のつながりの強化(神経可塑性)
- ドパミンなどの神経伝達物質の分泌促進
- 左DLPFCの活性化と右DLPFCや辺縁系(感情をつかさどる脳領域)の適切な抑制
治療効果と適応:誰に効果があるのか
薬物治療抵抗性うつ病に対するrTMSの効果サイズは約0.39と、抗うつ薬の効果サイズ(約0.31)と同等以上です。一般的に30〜64%の患者さんに効果があると報告されています。Journal of Affective Disorders Reports
副作用は軽微で、主に一過性の頭痛や頭皮の不快感程度です。重篤な副作用はきわめて稀です。
rTMS治療をご希望の方はご相談ください。
池袋オリーブメンタルクリニック
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