オリーブ通信|心と体のコラム 第6回
気分が落ち込んでいるときは受診しても、元気な時期のことは話さない。そんな方は少なくありません。ところが、「よく眠らなくても平気だった」「普段より予定を詰め込んでいた」という情報が、治療方針を考えるうえで大切になることがあります。
気分だけでなく、活動と睡眠の変化を見ます
双極症(双極性障害)は、うつ状態だけでなく、躁状態や軽躁状態と呼ばれる時期がみられる病気です。躁状態では、気分の高揚に加えて、強いいらだち、活動性の増加、話し続けること、考えが次々浮かぶことなどが現れます。睡眠時間が少なくても疲れを感じにくくなることもあります。[1]
単に気分が良い日があることや、その日のうちに気分が変わることと同じではありません。普段の自分と比べた変化がどの程度続き、行動や生活にどんな影響が出たかを確認します。
軽躁状態は、本人には好調に感じられることも
軽躁状態は躁状態より程度が軽く、「仕事がはかどる」「自信がある」と感じられる場合があります。そのため、本人が問題だと思わず、周囲だけが普段との違いに気づくこともあります。[1]
例えば、普段より睡眠が短いのに活動が増える、連絡や会話が急に多くなる、必要以上に買い物や契約を進める、といった変化です。一つ当てはまるだけで診断はできませんが、以前にも似た時期があったなら、うつ状態の相談と一緒に伝えてください。
治療歴を長い時間軸で振り返ります
双極症の診断では、今の症状だけでなく、過去の気分・睡眠・活動の変化、家族歴、薬や体の病気の影響も確認します。うつ状態をきっかけに受診した方では、過去の軽躁状態が分からず、診断まで時間がかかることがあります。[1]
「いつ頃、何日くらい続いたか」「周囲から何と言われたか」「生活上の困りごとがあったか」をメモにすると役立ちます。本人が希望すれば、家族の気づきを診察に生かす方法も相談できます。
うつ病とは薬の選び方が異なります
双極症では、気分安定薬や一部の抗精神病薬などが治療の中心となり、心理教育や生活リズムへの支援を組み合わせます。うつ状態であっても、抗うつ薬を単独で使うと躁転などの問題が起きる場合があるため、医師が病状を踏まえて判断します。[1]
この記事を読んで、今の薬を急に中止する必要はありません。「自分にも当てはまる時期があった」と主治医に伝え、処方の目的や注意点を確認してください。眠気などの副作用や、服薬を続けにくい理由も相談してよいことです。
生活リズムと早めの相談を、再発予防に
睡眠・起床時刻、活動量、気分を簡単に記録し、自分にとっての変化のサインを知ることが役立ちます。予定が増え始める、夜更かしが続くなど、いつものパターンが分かれば、早めに治療チームと相談しやすくなります。[1]
あまり眠らず活動が急に増えている、衝動的な行動が止まらない、現実とかけ離れた確信が強いといった場合は、次の予約日を待たず連絡してください。自分や周囲の安全を保てない切迫した状況では、119など緊急の支援を利用します。
治療の目標は、落ち込みを減らすだけでなく、気分の波に振り回されにくい日常を保つことです。良かった時期も、つらかった時期も、どちらも大切な診療情報です。
ご相談をご希望の方へ
池袋オリーブメンタルクリニックでは、症状だけでなく、生活で困っていることや治療への希望もお伺いします。初めて受診される方へ/通院中・再診の方へ。受診前のWEB問診は、可能な範囲でご記入ください。
この記事は一般的な医療情報です。診断や治療の判断は、個別の診察に基づいて行います。資料確認日:2026年9月28日。

