記事監修:院長 松島幸恵
オリーブ通信|rTMSを知る 第2回
rTMSを調べると「効果がある」という説明や、さまざまな成功率を目にします。大切なのは、数字の大きさだけでなく、誰に、どのような方法で、何をもって効果とした研究なのかを確かめることです。今回は、うつ病に対する根拠と、その限界を整理します。
うつ症状を軽くする効果が研究されています
rTMSは、磁気刺激によって脳の神経回路に働きかける治療です。薬物療法で十分な改善が得られない、または副作用などで続けにくい、うつ病の患者さんに対して研究が積み重ねられています。米国国立精神衛生研究所(NIMH)も、うつ症状を軽減する有効性を支持する臨床研究があると説明しています。[1]
一方、うつ病のすべての方に有効という意味ではありません。似た抑うつ状態でも、双極症、身体の病気、薬の影響などが背景にある場合があります。まず診断とこれまでの治療を確認することが出発点です。
実際の刺激と、偽刺激を比べる
治療の研究では、実際の刺激を行う群と、外見や感覚を似せた偽刺激(シャム)を行う群を比較することがあります。通院への期待や自然な経過などの影響をできるだけ分けて評価するためです。
2010年の無作為化比較試験では、薬を使用していない、精神病症状を伴わない大うつ病の成人を対象に、左前頭部への高頻度rTMSが検討されました。解析対象190人で、寛解した割合は実刺激14.1%、偽刺激5.1%でした。[2] これは特定の対象・刺激条件・観察期間の結果であり、当院の成績や、一人ひとりの寛解確率を示す数字ではありません。
「改善」と「寛解」は同じではありません
論文では、症状の点数が一定の割合で下がることを「反応」、症状がかなり少ない基準に達することを「寛解」として評価する場合があります。用いる尺度や基準は研究によって異なります。気分が少し楽になったこと、症状がほぼ落ち着いたこと、仕事や生活を取り戻したことも、それぞれ別の視点です。
治療前より活動できても睡眠の問題が残る、症状の点数は下がっても職場の負担が大きい、といったことがあります。診察では数値に加えて、ご本人の実感と生活の変化を確かめます。
研究の結果を、自分の治療に結びつけるには
刺激する場所、頻度、強さ、治療期間、服薬の有無が違えば、結果の単純な比較はできません。「最新」「短時間」といった言葉だけで、従来法より優れていると判断することも避けたい点です。
相談時には、自分が想定される対象に当てはまるか、どの方法を使うか、いつ効果を評価するか、改善が乏しい場合の方針を確認しましょう。根拠を知ることは、期待をなくすためではなく、納得して選ぶために役立ちます。
当院での相談・費用について
池袋オリーブメンタルクリニックのrTMSは自由診療(保険適用外)です。掲載料金は1回7,150円、10回69,300円、20回137,500円、30回198,000円(税込)。必要な回数・頻度・期間は診察と治療方式により異なり、診察料等を含む総額は開始前にご確認ください。
頭痛、刺激部位の痛みや不快感、顔の筋肉の収縮、めまいなどが起こり、まれにけいれん発作や躁転が生じることがあります。効果には個人差があります。適応・安全性を診察で確認します。
一般的な医療情報であり、個別の診断や治療を指示するものではありません。研究結果は当院の治療成績を示すものではありません。資料・料金確認日:2026年9月28日。

