オリーブ通信|心と体のコラム 第3回
「早く寝ようとするほど目がさえる」「夜中に時計を見て、明日の仕事が心配になる」。不眠が続くと、夜だけでなく日中もつらくなります。眠れないのは、努力や気合いが足りないからではありません。睡眠時間の数字だけでなく、生活への影響から整理してみましょう。
「何時間寝たか」だけで決まりません
寝つきにくい、途中で何度も目が覚める、早朝に目覚めて眠り直せないなど、不眠の現れ方はさまざまです。日中の疲労、集中の難しさ、いらいらなども大切な情報です。必要な睡眠時間には個人差があり、周りの人と同じ時間を眠れないことだけで病気と決まるわけではありません。[1,2]
厚生労働省の睡眠情報でも、睡眠で休まった感じと日中の状態が重視されています。睡眠の問題が続き、仕事や家事に支障があれば相談してください。「何か月も我慢しないと受診できない」ということはありません。[1]
眠りを妨げているものを確かめます
ストレスや不安、うつ状態だけでなく、痛み、生活時間のずれ、カフェインや飲酒、薬の影響などが関係することがあります。大きないびきや呼吸の停止、脚の不快感、強い日中の眠気があれば、睡眠時無呼吸など別の睡眠の病気も検討します。[2]
「眠れない」だけでなく、「眠らなくても疲れず、活動が増えている」という変化があるときは、そのことも伝えてください。診断によって治療の考え方が変わるためです。
できることから、眠りの条件を整える
毎日の起床時刻を大きくずらさない、眠気が来てから床に入る、寝室の明るさや音を整えるなどは、取り組みの候補です。夕方以降のカフェインや、眠るための飲酒も見直しましょう。寝酒は寝つきを助けたように感じても、睡眠の質を悪くすることがあります。[1,2]
ただし、「全部守らなければ眠れない」と新しい宿題を増やす必要はありません。交代勤務、育児、介護などで生活時間を変えにくい場合もあります。実行できる工夫を一つ選び、難しい点を診察で共有しましょう。眠気が強いときの運転は避け、安全を優先してください。
認知行動療法と薬、それぞれの役割
不眠症の治療では、睡眠についての考え方と、眠りを妨げる行動の両方を見直す認知行動療法(CBT-I)が選択肢になります。単なる「早寝早起きの指導」ではなく、その人の睡眠パターンに合わせて進める治療です。[2]
薬が役立つ場合もあります。薬の種類、症状、年齢や持病によって、期待できる効果と注意点は異なります。翌日の眠気、ふらつきなどが気になるときは伝えてください。「薬を使うことになったら一生やめられない」と決めつける必要も、逆に急いでやめる必要もありません。減量や終了は主治医と計画し、自己判断で変更しないようにしましょう。
診察の前に、簡単な睡眠メモを
寝床に入った時刻、起きた時刻、途中で起きたこと、昼寝、飲酒・カフェイン、日中の眠気を数日分メモすると、相談の手がかりになります。正確に測るために何度も時計を見る必要はなく、おおよそで十分です。スマートウォッチの数値だけで良し悪しを判断しないことも大切です。
治療の目標は「完璧な睡眠」より、日中を少し楽に過ごせる眠りです。眠れない夜への不安も含めてお話しください。
ご相談をご希望の方へ
池袋オリーブメンタルクリニックでは、症状だけでなく、生活で困っていることや治療への希望もお伺いします。初めて受診される方へ/通院中・再診の方へ。受診前のWEB問診は、可能な範囲でご記入ください。
この記事は一般的な医療情報です。診断や治療の判断は、個別の診察に基づいて行います。資料確認日:2026年9月28日。

